濾過フィルターの種類と選び方をメッシュ専門家が解説

フィルタープレスの特徴と用途

フィルタープレスは、プレートとフレームを使用して固体と液体を効率的に分離する装置です。高圧での濾過能力が高く、効率的に固形物を分離できる点が特徴として挙げられます。

このタイプのフィルターは、主に化学工業や食品工業で使用され、廃水処理や製品の濃縮に利用されます。

フィルタープレスのメリットとデメリット

メリット

• 高い分離効率
• 大容量処理が可能

デメリット

• 大型装置の導入が必要であり、初期コストが高い
• プレートの交換･清掃に時間がかかる

遠心分離機用フィルターの特徴と用途

遠心分離機用フィルターは、高速で回転することにより、物質の密度差を利用して効率的に固体と液体を分離します。

主に化学工業や製薬業界で使用され、微細な粒子の分離に優れています。乳製品の処理や廃水処理などにも使用されます。

遠心分離機用フィルターのメリットとデメリット

メリット

• 段時間で効率的な分離が可能
• 継続的な処理が行える

デメリット

• 高速回転のため、機械の摩耗が早い
• 装置の運転コストが高い場合がある

水平ベルトフィルターの特徴と用途

水平ベルトフィルターは、連続的な濾過プロセスに適しており、特に大量のスラリーを扱う場合に有効です。

広いフィルター面を持つため、鉱業や化学工業での固液分離など、大規模な産業プロセスにおいて重宝されます。

水平ベルトフィルターのメリットとデメリット

メリット

• 連続運転が可能
• 大量処理が可能
• フィルターの交換が比較的容易

デメリット

• 設備が大きくなりがち
• 初期コストが高い
• 装置のメンテナンスが複雑

真空濾過機用フィルターの特徴と用途

真空濾過機用フィルターの特徴は、高い濾過速度と効率がある点です。

真空濾過機は、真空圧を利用して液体をフィルターに通過させることで固体を残す装置で、精密な濾過が求められる製薬業界や化学工業、鉱業でよく使用されます。

真空濾過機用フィルターのメリットとデメリット

メリット

• 低温での操作が可能
• 微細な粒子の分離に優れる

デメリット

• フィルターの清掃が手間
• 真空ポンプのメンテナンスが必要

ベルトプレス用フィルターの特徴と用途

ベルトプレス用フィルターの特徴は、大量処理が可能で、圧力とフィルター布を利用して固形物の脱水が効果的に行える点です。

主に廃水処理施設におけるスラッジ（汚泥）の脱水や、食品加工に使用されます。

ベルトプレス用フィルターのメリットとデメリット

メリット

• 高い脱水効率
• 継続的な処理が可能

デメリット

• 装置の設置スペースが大きい
• 布フィルターの定期的な交換が必要

リーフフィルターの特徴と用途

リーフフィルターは、密閉容器内で複数の葉状フィルター素材を使用し、液体中の微細な固体を効果的に捕捉します。

食品加工から化学工業、製薬業界に至るまで、幅広い分野で精密な濾過を行うために利用されています。

リーフフィルターのメリットとデメリット

メリット

• 葉状のフィルターが多くの固体を捕捉し、効率的な濾過が可能
• 構造が比較的シンプルで、操作やメンテナンスが容易
• フィルター素材の交換頻度が低く、コスト削減可能

デメリット

• 高品質なフィルター素材は高額で、初期投資が大きい
• 大量処理には向かない場合がある

キャンドルフィルターの特徴と用途

キャンドルフィルターは、細長い円筒状のフィルターを使用した濾過システムで、高い濾過精度と耐久性を誇ります。

特に、液体中の微細な粒子を捕集するのに適しており、飲料水処理や製薬業界、化学工業での利用が一般的です。

キャンドルフィルターのメリットとデメリット

メリット

• 微細な濾過が可能
• 構造が比較的シンプルで、操作やメンテナンスが容易
• フィルターの交換が容易

デメリット

• 汚れによりフィルターが詰まりやすい
• 定期的なメンテナンスが必要

バグフィルターの特徴と用途

バグフィルターは、気体･液体が通過する際に固体粒子を捕集するバッグ状（袋状）のフィルター素材を使用します。

一般的に、工場の排気ガス処理や食品加工業の粉塵除去、工業用水処理、化学工業での粗濾過に使用されます。また、塗料やインク、食品、製薬業界など、さまざまな液体の清澄化にも利用されています。

バグフィルターのメリット･デメリット

メリット

• 比較的安価で抵抗コスト
• 交換･メンテナンスが用意

デメリット

• 高圧下では使用できない場合がある
• 目詰まりが起きやすい

廃水処理を行う場合

廃水処理では、フィルタープレスが固形物の除去に優れ、高い濾過精度と大量処理能力を提供します。プレートとフレームの間に設置されたフィルタークロスを通して廃水を圧力で押し通すことで、固形物を分離します。

定期的なメンテナンスにより、長期的な運用コストを抑えることが可能です。

遠心分離機は、高速回転により液体から固形物や油分を分離します。特に軽量で微細な粒子の除去に適しており、迅速な処理が求められる状況や、廃水の再利用を目的とした場合に有効です。運用コストはフィルタープレスに比べて高くなる傾向があります。

粉塵の管理が必要な場合

製造工程で発生する粉塵の管理には、バグフィルターが適しています。

バグフィルターは、空気中の粉塵や粒子を効率的に捕捉し、製造環境の清潔さを維持します。フィルターバッグは定期的に交換する必要があり、適切なメンテナンスにより長期的な性能を維持できます。

果汁や調味料の製造

果汁や調味料の製造においては、食品対応ナイロンメッシュやポリエステルメッシュ、水平ベルトフィルターが連続的な濾過プロセスに適しています。これは、大量の液体を効率的に処理し、連続運転が可能です。

ベルトとフィルタークロスは定期的な清掃と交換が必要ですが、適切な管理により長期的な運用コストを抑えることができます。

ナイロンやポリエステルのメッシュフィルターやリーフフィルターは、油やジュースの微細な不純物を迅速に除去し、高い濾過精度を提供します。フィルターの再生が可能であり、長期的な運用コストを抑えることができますが、定期的なフィルタープレートの洗浄と再生が必要です。

清澄化が必要な飲料製造

ビールやワインなどの清澄化には、キャンドルフィルターが適しています。キャンドルフィルターは、数ミクロン以下の微粒子を効果的に除去し、高い濾過精度を提供します。

フィルターの寿命が長く、定期的な逆洗浄と再生により、運用コストを抑えることができます。

医療用液体の滅菌処理

医療用液体の滅菌には、滅菌処理した超高精度ナノメッシュやキャンドルフィルターが最適です。これは、数ナノメートルまでの微細な粒子を除去し、滅菌処理に必要な高い濾過精度を提供します。

フィルターは長寿命であり、定期的な洗浄と再生により、運用コストを抑えることができます。

手術室やクリーンルームの空気清浄

手術室やクリーンルームでは、バグフィルターが微細な粒子を捕捉し、高い空気清浄能力を提供します。フィルター交換が容易であり、運用コストを抑えることができる点も特徴です。

また、HEPAフィルターという種類の濾過フィルターは、0.3ミクロン以上の粒子を99.97%以上除去し、院内感染防止に貢献します。

実験プロセスでの迅速な濾過

実験プロセスでは、真空ろ過機が迅速な濾過を実現します。これは、数ミクロンから数百ミクロンまでの粒子に対応し、高速かつ効率的な濾過が可能です。

運用コストは比較的低めですが、定期的な部品の点検と交換が必要となります。

精密な濾過が必要な研究開発

研究開発では、ナイロンメッシュやポリエステルメッシュなど、高性能フィルタープレスが非常に細かい粒子に対応し、高い濾過精度を提供します。

フィルタークロスの交換と洗浄は定期的に行う必要がありますが、運用コストは抑えられます。

分子レベルでの分離

濾過フィルターの種類によっては、DNAやタンパク質の分離まで行うことが可能です。このような微粒子レベルの濾過には、超高精度ナノメッシュやメンブレンフィルターというフィルターが適しています。

ナノメッシュ等、メッシュの細かいフィルターは分子レベルでの分離が可能で、高度な分離性能を提供します。

フィルターの定期交換と再生が必要で、運用コストは高めです。

定期的な洗浄

フィルターは使用する環境や濾過する物質に応じて、定期的に洗浄することが必要です。メッシュフィルターの場合、汚れや詰まりが発生しやすいため、以下の手順で洗浄を行ってください。

1. 水洗い: 軽度の汚れは水で十分に洗い流せます。ぬるま湯を使用し、優しくこすり洗いをすることで目詰まりを防ぎます。
2. 中性洗剤: 油分や粘着性のある汚れが付着している場合は、中性洗剤を使用して洗浄します。フィルターを中性洗剤で浸した後、柔らかいブラシで軽くこすります。
3. 高圧洗浄: 頑固な汚れや詰まりには、高圧洗浄機を使用すると効果的です。ただし、フィルターの材質によっては高圧洗浄がダメージを与える場合もあるため、注意が必要です。
4. 逆洗: メンテナンスのコツとして、逆洗（通常、水が流れてフィルタリングする方向とは逆側から水圧をかけて異物を網目から除去する方法）を活用します。これにより、目詰まりを効果的に解消できます。

点検と交換時期の目安

メッシュフィルターは使用頻度や環境に応じて劣化するため、定期的な点検が必要です。以下の点に注意して点検を行い、必要に応じて交換を検討してください。

目詰まり

フィルターの目詰まりがひどい場合は、洗浄後も効果が低下することがあります。この場合は交換を検討してください。

損傷

フィルターに破れや穴がある場合は、異物の混入を防ぐためにも早急に交換することが重要です。

劣化

長期間使用したフィルターは、材質が劣化している可能性があります。特に高温や強い薬品にさらされる環境では、定期的な交換が推奨されます。

メンテナンスのコツ

効果的なメンテナンスを行うためのコツをいくつか紹介します。

取扱説明書の確認

フィルターごとに推奨されるメンテナンス方法が異なるため、取扱説明書をよく確認しましょう。

予備のフィルターを準備

メンテナンス中や交換が必要になったときに備えて、予備のフィルターを常備しておくと安心です。

定期的なスケジュール

メンテナンスを定期的に行うスケジュールを設定し、忘れずに実施することが重要です。

メッシュフィルターの適切なメンテナンスを行うことで、フィルターの寿命を延ばし、常に高い濾過性能を維持することができます。

メッシュの種類によって最適なメンテナンス方法が異なりますので、お気軽に弊社へご相談ください。

お問い合わせ

フィルターの材質

使用する環境や目的に応じて、適切な材質のフィルターを選ぶことが重要です。濾過する薬品に対する耐薬品性と、使用する環境の耐熱温度に対応できる材質を確認してください。

特に、以下の材質に注目しましょう。

ナイロンメッシュ

耐熱温度は100℃程度で、アルカリ系の水溶液中の異物除去に適しています。

ポリエステルメッシュ

耐熱温度は120℃までで、酸性の液体中の異物濾過や粉体の篩に適しています。

テフロンメッシュ

耐熱温度は150℃までで、強い薬品の濾過に適しており、剥離性もあります。

ポリプロピレンメッシュ

耐熱温度は80℃程度で、薬品の濾過に適しています。

ポリエチレンメッシュ

耐熱温度は40℃程度で、薬品の濾過に適しています。

その他の特殊材質

耐熱や耐薬品性が必要な場合には、PTFEメッシュ、PEEKメッシュ、PPSメッシュなども検討しましょう。

フィルターの目開き（メッシュサイズ）

フィルターの目開き（メッシュサイズ）は、濾過する物質の粒子サイズに合わせて選ぶ必要があります。粒子がフィルターを通過するかどうかは、目開きの大きさに依存します。

粗い濾過

粗い異物を取り除く場合は、目開きが大きいフィルターを選びます。

細かい濾過

微細な異物を取り除く場合は、目開きが小さいフィルターを選びます。

耐熱性と耐薬品性

フィルターが使用される環境の温度や化学薬品に対して耐性があるか確認しましょう。適切な耐熱性と耐薬品性を持つフィルターを選ぶことで、長期的に安定した性能を発揮できます。

購入前には必ず以下の点を確認してください。

耐熱性

使用環境の温度に対応できるフィルターを選びます。耐熱温度が高いフィルターは、高温の環境での使用に適しています。

耐薬品性

使用する化学薬品に対して耐性があるフィルターを選びます。耐薬品性のあるフィルターは、化学薬品による劣化を防ぎます。

購入前に材質の耐熱温度と耐薬品性について不明な点がある場合は、必ず専門家に相談しましょう。

お気軽に弊社へご相談ください。

お問い合わせ

メーカーの信頼性

フィルターを製造しているメーカーの信頼性も重要なポイントです。信頼性のあるメーカーから購入することで、品質や性能に安心感があります。

レビューや評価

インターネット上のレビューや評価を参考にし、信頼できるメーカーを選びましょう。

保証やサポート

購入後の保証やサポートが充実しているメーカーを選ぶことで、トラブルが発生した際にも安心です。

コストパフォーマンス

フィルターの価格だけでなく、メンテナンスや交換頻度などのコストも考慮して選びましょう。

高品質なフィルターは初期コストが高くても、長期的にはコストパフォーマンスが良い場合があります。

初期費用とランニングコスト

フィルターの初期費用と、メンテナンスや交換にかかるランニングコストを比較検討します。

長寿命のフィルター

長寿命であるフィルターは、交換頻度が低く、ランニングコストを抑えることができます。

これらのポイントを踏まえて、濾過フィルターを選定することで、最適なフィルターを手に入れることができます。上記のポイントを参考にしながら、用途に合わせて最適なフィルターを見つけましょう。